しなやかな腕に抱かれて
「香穂子・・・君が・・・好きだよ。
愛してる・・・・・」
何度も耳元で囁かれて。
あなたの腕の中にしっかりと閉じ込められて。
揺らされてゆく身体。
「あ・・・・ああっ・・・蓮・・・く・・・」
名前を呼びたいのに。
苦しくって。
切なくって。
ただ声だけが・・・唇から零れてしまう。
それは甘い苦しさ。
そして切なさ。
好きすぎて。
幸せすぎて。
だから・・・。
甘い声だけが。
潤む声だけが。
漏れてしまうの・・・。
そして甘く切なく・・・。
熱く視線が絡み合う。
何度も何度も・・・。
誘い合うように・・・。
あなたと・・・私の視線が絡み合う。
そして長い睫毛に縁取られたあなたの輝く琥珀の瞳が近づいて。
ゆっくりと重ねられてゆく唇が。
あなたの荒くなった吐息と共に。
熱くなった唇が私の唇に触れて。
甘く舌の絡まる音がする。
重なる唇。
絡まる舌先。
そこから溶けてひとつになってしまいそう。
もっともっと溶け合いたくて。
絡めあいたくて。
あなたのしなやかな身体にもっと抱きついていく。
ぎゅうっと強く。
ひきしまったあなたの胸元に重なる私の胸元が
ぴったり汗で吸い付いてもう離れることなんてできそうもない。
そんな風に思うほどに密着する身体。
身体を押し付けあうたびにあなたの唇から吐息が零れて。
もっと激しく・・・抱きしめられる。
「君を・・・離したくない・・・
このまま・・・ひとつに溶けてしまいたい」
耳元で囁く声が甘く掠れてる。
甘い吐息も熱く潤んでる。
私だって・・・。
私だってあなたと・・・。
離れたくないよ・・・。
もっと・・・もっと・・・。
くっついて・・・。
繋がっていたい・・・。
もっとそう・・・。
離さないで・・・。
こうしてあなたと向かい合って。
あなたのしなやかな腕に抱かれるのが好き。
私の身体に覆いかぶさるあなたを見上げながら愛されるのも好きだけど・・・。
こんな風に見つめ合って。
抱きしめあって。
身体を重ねるこんな愛され方が好き。
「ああ・・・君と…離れたくないな・・・君とこうしていつまでも繋がっていたい・・・」
「私もよ・・・蓮くん・・・離さないでね・・・ずっとこのまま・・・あったかい・・・」
汗で乱れた柔らかな青い前髪の間から甘えるように見つめながら囁きかけるあなたがいとしくて。
その柔らかな髪にくしゃりと指先で触れていって。
そして耳元で愛を囁き返して。
うれしそうに目を細めるあなたの唇にそっと口づけていく。
私から唇を重ねていくと幸せそうにあなたが瞳を閉じて
いとおしそうに今度はあなたが私の髪をその指先で梳いてくれる。
何度も、何度も・・・。
そして深く深く口づけられて。
もう一度唇が離れるとまるでチョコレートのように甘くとろける笑みで微笑みあう。
幸せな時間。
そして・・・。
あなたの視線と私の視線がお互いの首元にゆっくりと注がれる。
いとおしそうにあなたの唇が寄せられるとちゅっと唇でくすぐったく吸い付いてきた。
「あ・・・・」
「ほら・・・。君のここ・・・もう・・・こんなに・・・」
唇が首元から離されると視線が熱い・・・。
「頑張っている証だ・・・」
熱のこもった声であなたが言うから・・・。
私も・・・。
あなたが唇を押し当てた場所と同じ場所にうやうやしく唇を押し当てる。
ちゅくっと甘い水音を立てて。
「蓮くんのは・・・・すごくすごく深いよね。私よりずっと・・・。」
いつもヴァイオリンを当てている場所。
2人とも痣になっている。
だけど蓮くんの方が比べ物にならないくらい深くて濃くて。
しみひとつない蓮くんの肌理こまやかな白い肌に。
それはもうくっきりと・・・。
そして私の首元にも。
うっすらと・・・。
頑張っているしるし。
痕が深まるたびに。
嬉しそうに幸せそうにあなたの視線が注がれてゆくから。
なんだか私も嬉しくなる。
そして尊敬の念とともに。
あなたの首元にも私の視線が注いでゆく。
「そんな君が・・・いとしくてならない。
愛している。誰よりも君を・・・香穂子・・・」
「私も・・・愛してる。好きよ。蓮くん。大好き・・・」
互いの首元に何度も抱き合いながら唇を押し当てる。
何度も何度も・・・。
そして夢中で首元に吸い付かれながら身体を揺らされて。
思わず耐え切れずに甘く声を漏らしてしまう。
霞む視界の中。
あなたの琥珀色の瞳が再びに近づいて。
今度は貪るように激しく唇が重ねられる。
絡まる舌先ももっと強く強く。
息もできないほどに。
ああ。
あなたが好き。
あなたのしなやかな腕に抱かれて・・・。
こうして愛し合うひとときが大好き。
狂うほどに君がほしい。
あなたはそう言ってくれるけど。
私だってあなたがほしい。
だってこんなにもやさしくて。
こんなにも深い愛を感じるから。
もう一度いいだろうか・・・。
そんな視線を私にむけるあなたの首元に顔を埋める。
あなたのしなやかな腕がもう一度私を包み込んで。
もう一度首元に甘いキスが落とされた。
至福のひとときがまた始まる。
あなたのしなやかな腕の中で・・・。